社員のつぶやき

    損益構造から見える建設業の事業継続計画(BCP)の特色

    投稿日:2020.02.21

    1.東北大震災を始めとする各地で発生した地震や各地を襲った豪雨災害により、世の中のBCPに関する関心が高まっています。このような中で、建設企業がBCPを策定・実施するにあたって留意すべき点はどのような事柄でしょうか。このことに関しては、建設業の損益構造がヒントを与えてくれます。

     

    2.建設業の損益構造の特色
    (1)完成工事高(通常の会計科目の売上高に該当)が約30%の公共工事と約70%の民間工事で構成されています。公的機関は監督官庁であると同時に発注者でもあります。
    (2)売上原価は、通常の会計科目では仕入高、労務費及び経費に3分されていますが、建設業会計では材料費、労務費、外注費及び経費に4分されています。外注費が独立の科目で表示されていることからも分かるように、外注費は完成工事原価(売上原価)の約60%を占める重要科目です。

     

    3.建設業のBCPの特色
    (1)通常のBCPが、「自社」の事業中断の影響を軽減させると共に早期の再開を目指すものであるのに対し、建設業のBCPは、発注者でもある行政及び現場の施工を共に担う外注先等の「外部との連携」を重視したBCPとなる点が特色と言えます。
    自社の事業中断等に備える通常行われているBCPに付加すべき「外部との連携」に関するBCPにつき以下述べることにします。
    (2)行政との連携
    イ.事前に行政と協議し災害発生時の連絡経路等を決めておきます。
    ロ.地域の社会的インフラ(道路、河川、鉄道、航空等)への影響を想定し、提供できる社員の数、機械等につき協議しておきます。
    ハ.上記イ及びロ以外についても、現状の公的機関との「防災協定」の内容を再度確認します。
    上記イ、ロ及びハは、「経営事項審査」の「W」に関係する項目でもあります。
    (3)建設業者間の連携
    イ.建設業者は、元請、二次下請及び三次下請等に分けられるが、各社のこれらの重層構造の中での位置づけと地域の災害復旧にあたっての役割を明らかにしておきます。この場合、(2)ロ.との協議とも連携を密にして、合理的且つ迅速な復旧を実現できる体制作りに留意します。
    ロ.社外の施工中の建設現場の応急対応についても、夜間や休日に被災した場合も想定し、①安否確認、②被害状況の調査と写真による記録、③二次災害防止、④関係先への連絡等につき事前準備を行います。

     

    災害の発生は地域にとっては憂うべき事象ですが、地域の建設企業が上記のBCPの通りの復旧、復興に積極的に係ることができれば、「地域にとって不可欠な企業」としての地位を確立することができます。

     

    公認会計士・税理士 吉永 茂

     

    税理士法人ユース会計社代表

    京都⼤学経営管理⼤学院特命教授

    一般社団法人コンサル技連代表理事