MENUCLOSE
無料まずは資料請求 無料無料相談
お役立ち情報
ホーム > お役立ち情報 > 安全衛生経費とは?内訳・見積もり計上方法から重要性まで徹底解説

安全衛生経費とは?内訳・見積もり計上方法から重要性まで徹底解説

2025.05.22
法・制度

建設業界では「安全第一」が至上命題とされながらも、資材高騰・受注競争の中で安全衛生経費が「削りやすいコスト」と見なされがちです。しかし、もし労働災害が発生すれば医療費・損害賠償・工期遅延の直接損失に加え、企業イメージの失墜や入札参加停止など計り知れない間接損失を招きます。

本記事では、安全衛生経費の定義・法的根拠から、標準見積書での正しい計上・内訳明示方法、さらに最新ICTを活用した安全衛生活動の事例までを網羅し、「安全はコストではなく未来への投資」であることを具体的に解説します。

「安全第一」なのに…軽視されがちな安全衛生経費

公共・民間問わず「共通仮設費率に安全費を含めて一律○%で計上するだけ」というケースが散見され、現場で必要な対策費が不足する原因となっています。

事故が起きてからでは遅い!適正計上の必要性

国交省・厚労省の試算では、墜落災害1件当たりの総損失は約4,000万円。安全衛生経費の削減で得られる“節約額”を大きく上回ります。

この記事で分かること:安全衛生経費のすべて

  • 安全衛生経費の定義と法的根拠
  • 重要視すべき理由とリスク
  • 内訳項目と金額の算出方法
  • 標準見積書への記載例
  • 実務で役立つ安全衛生活動事例

安全衛生経費とは?~定義と法的根拠~

ここでは「安全衛生経費」とは何か、その目的と労働安全衛生法上の位置づけを整理し、経費を負担する企業責任を明確にします。

安全衛生経費の定義と目的

安全衛生経費とは、労働者が安全かつ健康に就業できる環境を整備するために必要なすべての費用です。足場や手すりの設置費、保護具の購入費、安全教育・健康診断・メンタルヘルス対策などが含まれます​。

法的根拠:労働安全衛生法の義務

労働安全衛生法第3条は「事業者は労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置を講じる義務」を規定し、その費用を負担しなければなりません。2023年4月からは一人親方等も保護対象に拡大され、安全配慮義務はより厳格になりました​。

※参考:厚生労働省「労働安全衛生法」

なぜ安全衛生経費が重要か?多角的な視点とリスク

安全衛生経費を「単なるコスト」ではなく「投資」と捉えるべき理由を、経営・現場・社会の3方向から整理します。

労働災害の防止

適切な安全設備・教育投資は墜落・挟まれ・熱中症などの重大災害を防ぎ、人的損害と工期遅延を回避します。

労働者の健康維持と働きがい向上

快適トイレや休憩所、定期健康診断の実施はモチベーションと定着率を高め、担い手不足対策にも直結します。

企業の社会的責任(CSR)と信頼性向上

安全への取り組みはESG評価や公共工事入札時の加点に寄与し、取引先・金融機関からの信用を強化します。

コンプライアンスと罰則リスクの回避

安全対策を怠った場合、労基署の作業停止命令や刑事罰、国交省の監督処分(勧告・営業停止)に発展する可能性があります。

生産性への寄与

安全で整然とした現場は手戻りとムダが少なく、出来高/労務投入比が向上します。

安全衛生経費を軽視すると、労災⇒訴訟⇒信用失墜⇒人材離職という負の連鎖を招くことを忘れてはなりません。

安全衛生経費の具体的な内訳

対策を漏れなく計上するため、費用項目を安全対策・健康管理・その他の3カテゴリーに分け具体例を示します。

安全対策に関する費用

  • 仮設・安全施設:足場、手すり、安全ネット、墜落防止設備、消火設備の設置・点検
  • 機械・設備の安全化:重機への接近検知装置、定期自主検査費
  • 保護具:ヘルメット、フルハーネス、安全靴、空調服、保護メガネ
  • 安全教育・訓練:新規入場者教育、特別教育、VR安全体験、職長・安全衛生責任者教育
  • 安全管理体制:安全管理者選任、安全パトロール、安全衛生協議会運営費

健康管理・衛生に関する費用

  • 健康診断:雇入時・定期・特殊健診、ストレスチェック
  • 作業環境測定:粉じん、騒音、有機溶剤などの測定・改善
  • 衛生環境整備:快適トイレ、更衣室、WBGTセンサー、感染症対策
  • メンタルヘルス対策:外部相談窓口、カウンセリング費用

その他

安全関連書類の作成・管理費、法定外労災上乗せ保険料など

見積もりへの計上方法と注意点

安全衛生経費を正しく発注者に説明し、値引きを防ぐための見積もり手順を解説します。

計算方法の基本的な考え方

  • 1.現場条件を分析し、必要な安全対策を洗い出す
  • 2.材料費・労務費・外注費を積み上げ方式で算出
  • 3.不確定要素に備え、総額の5〜10%を予備費として設定

国土交通省の積算基準の活用

公共工事では「共通仮設費積算基準」の安全費区分を参照し、標準歩掛りに含まれない分は別途積み上げて加算します​。

※参考:国土交通省「公共建築工事共通費積算基準」

標準見積書での扱い

国交省が公開する標準見積書(安全衛生経費内訳明示版)では、「共通仮設費—安全費」「現場管理費—安全衛生経費」に項目ごとの金額を記載できます。内訳を明示することで、元請・発注者との協議根拠となり不当な値引きを抑制できます​。

※参考:国土交通省「安全衛生経費を内訳明示した見積書の作成手順」

見積もり計上時の注意点

  • 総額一式計上は禁止。数量×単価で根拠を示す
  • 値引き対象外である旨を事前説明し、協議記録を残す
  • 下請・再下請へも適正額を分配し、全階層で安全対策を確実に実施

安全衛生活動の取り組み事例紹介

先進企業が安全衛生経費を適正に確保し、生産性も向上させた事例を紹介します。

安全パトロールの工夫

是正指摘だけでなく好事例を写真共有し、下請も参加する“褒めるパトロール”で災害件数を40%減らした事例。

ICT・テクノロジーの活用

ウェアラブルカメラで遠隔臨場を実施、監理技術者の移動時間を月40時間削減し、是正指摘が30%減少した事例。

コミュニケーションの活性化

ヒヤリハットをスマホアプリで共有し、投稿数が3倍に。KY 活動の質が向上した事例。

健康管理・メンタルヘルスケア

クラウドでストレスチェック結果を管理し、ハイリスク者への面談率を 100%達成。離職率が 10%改善。

熱中症対策

WBGT センサー連動アラートと空調服を支給し、熱中症ゼロを3年継続した事例。

「安全」はコストではなく未来への投資

安全衛生経費は事故ゼロ・ブランド価値向上・生産性向上に直結する「攻めの投資」です。

安全衛生経費は「投資」である

ROI(投資回収率)の視点で、事故ゼロにより削減できる損失額・品質ロス低減効果を数値で提示します。

建設事業者へのメッセージ:安全文化の醸成を

経営トップは「安全衛生費削減禁止」を社内規程に明記し、現場は標準見積書とチェックリストで抜け漏れを防ぎましょう。適正な安全費を確保することが、企業の未来を守る最良の投資です。

お問い合わせ
どっと原価シリーズで原価管理を
見える化・効率化しませんか?
無料まずは資料請求
製品紹介やお役立ち資料をお送りいたします
30分で
分かる
無料相談お申し込み 無料デモお申し込み
実際の画面で機能をお試しいただけます
お気軽にお問い合わせください