チームワークと役割
スポーツの団体競技には、チームワークが欠かせません。サッカーではフォワード・ミッドフィルダー・ディフェンダー・ゴールキーパーそれぞれでプレイする場所が決まっています。ですが、自分の場所だけでプレイしているかと言うと、必要に応じて持ち場を離れてプレイすることもあります。ゴールキーパーでも稀に、身長の高さを生かしてコーナーキックに参加してゴールを決める事もあります。
そして、もっと大切なのは声を掛けることです。年齢の差があっても関係なく、ゴールキーパーはディフェンダーに、ディフェンダーは、ミッドフィルダーやフォワードに声をかけます。「もっと走れ!もっと俺を見ろ!」とかを名指しで叱咤激励どころか、ボロクソの言い方で指示をします。試合中は、ポジションの良さによってゴールが決まり、逆に悪いことで相手チームにゴールが決まりますから、一瞬一瞬が真剣です。そして、こうしたことでチームには一体感が生まれ試合を重ねることで、チームとして強くなっていきます。ですが、いつも同じ様な声がけでは、そのチームはさらに強くなることはありません。もっと強くなるための臨機応変な戦術に対応した声掛けを行えることで、いろんなタイプの違う対戦相手にも対応し、勝利することができるようになっていきます。そのためには試合前に、相手チームの得意な戦術とそれに対応する味方の戦術とそのために自分はどうすれば良いか?を研究・学習します。こうした事前に学んだ仲間同志だからこそ、試合で互いに的確な声掛けができ、掛けられた方も納得してプレイできるのだと思います。
会社においてもそれぞれのポジションで効率よく仕事をするためには、まずしっかりと学ぶ必要があります。その学びは、会社から与えられたものだけでなく、自主的に学べば学ぶほど、その人には自信や信頼が上がります。 そして、チーム内で声を掛けることで同僚や部下・上司はいろんな事に気づけ、アドバイスや誤りを提案することができます。そして場合によっては、自分以外の部署にも声をかけ、手助けや提案することもあると思います。これは悪い事だとは思いませんし、企業理念の少数精鋭の考え方でもあります。
私は、前職で30歳で営業責任者であった時に、当時の上司に対して「経理のここが良くない、なおすべきだ」と話をし、「直らないのであれば、私が直接、指示をしたい」と申し出た時がありました。その時、上司からは、「気持ちは分かるが、君は営業責任者だ。経理の事まで思い考え、指示する暇があったら営業責任者として、もっとできることがあるのではないか?」と言われました。当時、営業責任者としては、営業チームがいつも目標達成できている訳でもなく、人の事を気にする前に自分の仕事を全うせよと上司は言ったのでした。チームワークは、先ず、自分の仕事を全うするためにしっかりと学び、チーム内で声をかけ、アドバイスや誤りを正す提案をし、自分の役割を全うする。そして、その上で、他の部署にも気遣い、あるいは提案もする。これがチームワークが良い組織のあり方なんだと思います。